『水の発見』のコメント
ライターの岡村詩野さんと接近!UFOズメンバーでなかった時代の岩出拓十郎くんに
素晴らしいコメントをいただきました。感謝を込めてここに掲載させていただきます。
無邪気なのだ、とにかく。なのに、アッカンベーと人を食ったようなこともする。でも、やっぱり無邪気。屈託なく、ケロリとしながら、恐ろしいほどにけれんみのないポップ・ソングを作っちゃう。
そう、本日休演時代に「映画」 「曲がり角」「暴風警報」といった曲を書いた男、それが佐藤拓朗。今から2、3年ほど前、初めて佐藤拓朗と話した時のことは今でもよく覚えている。あどけない笑顔が愛らしい少年という印象だったが、会話から飛び出してくるの がレス・ポール&メリー・フォードやチェット・アトキンスという、とうてい 20 歳そこそこの学生とは思えない名前だったのにたいそう驚かされた。
そして、その時点で私の中では「京都の若きチェット・アトキンス」という異名になったわけだが、加えて彼はソングライティングに卓越していた……というより、素直にいいポップ・ソングを書きたいと目を輝かせていた。
いくら技術が達者になっても絶対にかないっこない、そのむこうみずなポップ指向がとにかく眩しかった。本日休演を脱退して1年ほどになる。今年2016年には私が編集したコンピレーション・アルバム『From Here To Another Place』( Helga Press)にも「とんぼ返り」 を提供してくれたが、充電期間も十分に、ようやく彼自身の再出発が始まる。
紹介しよう、接近!UFOズ。京都在住の邪気なきポップ・マエストロ、佐藤拓朗の新たなステージだ。
ーー岡村詩野
このアルバムは良い。メロディーは素朴で太い。歌詞は日常の示唆に富んでいる。演奏は素直にうねってる。 歌は、近すぎもせず遠すぎもせず、そのまま語りかけてくる。音像は、過去を思い返す感覚そのもの、みたいだ。
これらがバランスを保って一体になってくるのは奇跡的なことだ。良い、というのはそのバランス感覚のことなんじゃないかと思う。ふんわりと香るように良い。良いものは、古くても生々しい。デジャブのように感 覚を繋げてくれる。
良いものは、新しくても優しい。ぬるっと現実が変わっていく。良いものは、何年たってもいい。このアルバムはそうだと思う。さあ発見をしていこう。
ーーー 本日休演 岩出拓十郎